2018.07.03

Column

おにぎり1個、食パン1枚はNG? 理想の朝食メニューを考える

私たちにとって、朝食を食べることは学業や仕事、スポーツの場面でとても大切なことです。せっかくであれば、バランスのよい朝食を食べて1日を始めたいものですよね。では、私たちにとっての理想の朝食とはどのようなメニューなのでしょう?

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  • 立命館大学食マネジメント学部 准教授

    保井 智香子(やすい ちかこ)

    専門は健康教育、栄養教育、健康スポーツ科学。健康教室における栄養教育や運動継続、中学生の食育に関する研究に従事。現在、スポーツ選手の栄養教育やコンディショニングサポートに取り組んでいる。好きな食べものは、ポテトフライ。

朝食のメリットって?

「朝食は食べたほうがいいよ」と多くの人が1度は聞いたことがあると思います。朝食を食べるメリットはいろいろあります。

【体に対する朝食を食べるメリット】

1.脳にブドウ糖がエネルギーとして供給される
2.体の中で食物の消化・栄養素の吸収が行われ、体のリズムを作る
3.体温が上がり、活動的な体の準備が整う
4.1日に必要なエネルギーや栄養素を満たす

しかし、朝食を食べることは体に対するメリットだけではありません。平成26年度の全国学力・学習状況調査では、「朝食を毎日食べている児童・生徒」は「あまり食べていない児童・生徒」よりも国語や算数の点数が高くなっており、朝食を食べることが学力に関係していることを示しています。また、平成27年度全国体力・運動能力、運動習慣等の調査結果では、朝食を毎日食べる児童・生徒の方が体力テストの結果がよいこともわかっています。

朝食を食べることは、学業や仕事、スポーツの場面でとても大切なことがわかりますね。では、朝食は少し食べておけば大丈夫なのでしょうか?

おにぎり1個、食パン1枚、菓子パン1個で朝食は大丈夫?

朝食は食べないより食べたほうがよい。そんなことはわかったとしても、食パン1枚だけ食べておけば十分なのでしょうか? 18歳~29歳の男女にとって、食パン1枚では1日に必要なエネルギーは約1/3しか摂ることができません。ビタミンAやCはほとんど摂ることができませんし、カルシウムや鉄も約15%程度ととても少ない量の摂取になっています。

脳へブドウ糖を供給するためには、ご飯やパン、麺類やいも類、果物類、砂糖類などブドウ糖が多く含まれている炭水化物の栄養がとても大切です。ジュースやあめ玉を食べておけば確かにブドウ糖は簡単に摂取できますが、効率よくブドウ糖を体の中で利用するためには、ビタミンB群の栄養がとても大切になります。食パン1枚食べても、残念ながらこのビタミンB群はあまり摂取できませんので、他の食品と組み合わせて食べることが大切です。

ビタミンB群を摂るためには何を食べればいい?

ビタミンB群の栄養はお肉やお魚、卵、大豆や大豆製品などメインのおかず(主菜)に用いられる食材に多く含まれています。食パンを食べる時にハムをのせて食べたり、ゆで卵を添えるとビタミンB群だけでなくたんぱく質の摂取量も増えてとても栄養価が上がります。ごはんの場合は、卵かけごはんにしたり、納豆を添えたりするだけでも栄養価が少しアップします。

主食と呼ばれるごはんやパン、麺類などに合わせて主菜をプラスすることで、エネルギーやたんぱく質、ビタミンB群の栄養が補給できるというわけですね。しかし、主食と主菜の組み合わせだけでは、ビタミンAやビタミンC、カルシウムなどはまだまだ不足しています。

どんな組み合わせの食事がいいの?

ビタミンAやビタミンC、カルシウムなどの無機質(ミネラル)は、私たちの体の調子を整える大切な働きをする栄養素です。ビタミンAはトマトやブロッコリー、小松菜などの緑黄色野菜、ビタミンCは色の薄い淡色野菜や柑橘系の果物、イチゴやキウイフルーツなど、カルシウムは牛乳やヨーグルト、小魚、海藻類に多く含まれています。主食と主菜に合わせて、野菜のおかず(副菜)を組み合わせることで、ビタミンAやビタミンCも摂ることができます。さらに、プラスαとして飲み物にコップ1杯の牛乳またはヨーグルトをつけるとカルシウムも摂れて栄養価はとても高くなります。例えば、食パンにゆで卵、ミニトマトを加えて、デザートにオレンジ、飲み物に牛乳を合わせるという感じです。

時間が忙しい中でもできれば毎食、主食+主菜+副菜+プラスαの組み合わせを心がけて食べたいですね。主食しか食べていない方は、まずできそうなことから朝食をアレンジして食べてみましょう。